ライフデザイン学科 研究室ブログ LABORATORY BLOG

2023年度 若狭プロジェクト
2024年1月29日

 ライフマネジメント研究室では、2023年10月21日~23日に、福井県若狭町で、2泊3日の連携プロジェクトを行いました。

 今回は2024年3月に北陸新幹線が敦賀駅まで延伸するのに合わせ、若狭の魅力を東京の若い女性の視点でとらえ、世に発信するというプロジェクトです。その様子をご紹介します!

 

 <1日目>

〇「こるぱ」でしじみ料理のランチ

 

 敦賀駅に到着して、まずすべきことは昼食をとること。昼食は、目的地の若狭町の手前の美浜町にある健康楽膳拠点施設「こるば」で、三方五湖の1つの久々子湖(汽水)でとれたしじみを使ったランチを楽しむことにしました。

 天気の良い日であれば窓からは湖ビューが楽しめるのですが、あいにくの雨で残念でした。しかし、この日は雨で風も強く気温が低かったため、温かい「しじみラーメン」が体中に染みわたりより美味しさを感じられたような気がします。

 「しじみラーメン」は初めて食べましたが、シジミがたっぷり入っていてとても美味しかったです。具材はネギとわかめだけで味付けはシンプルですが、シジミの旨味がしっかりと感じられて、贅沢な一杯でした。(藤井)

 

〇年縞博物館

 

 「年縞」とは、湖底に沈んだ蓄積物が夏季と冬季では異なるため縞のようになったものをいいますが、三方五湖の一つ、水月湖の年縞はなんと7万年分以上もあり世界一とのこと。過去の遺物を年縞の堆積物と照らし合わせることでその年代を特定できる、歴史の「ものさし」だそうです。館長の説明を受け、かつての富士山の噴火時の白い堆積物も縞の間に挟まれているのを確認したりしながら、薄くスライスした、昆布のようにみえる年縞を7万年前から現代までたどっていき、太古の昔にタイムスリップしました。(藤井)

 

〇自然センター

 

 次に見学をしたのが、海浜自然センターです。福井県海浜自然センターは、若狭湾国定公園の豊かな海の自然を学び、体験してもらうため、学習・体験・情報発信などの機能を備え、自然保護意識の普及・高揚を図っている施設です。

 施設内にはたくさんの福井県の魚が、様々な水槽に展示されており、見て、触って様々な感覚で海に触れあうことができます。中でも入り口を入って目の前の、エサやり水槽や、その横のタッチプールはまるで自分が海の中にいるように感覚で触れ合うことができ、私たちも子供のようにわくわくしました。(來田)

 

〇ふじはらや

 2泊3日の合宿の中で、1泊目は漁師民宿「ふじはらや」に宿泊しました。「ふじはらや」は若狭湾の中の世久見湾からごく近い場所にあり、少し外に出ると絶景の日本海が楽しめます。波のささやき、カモメの歌声、そして潮の香り。すがすがしい空気に思わず深呼吸。まるで時が止まっているような感覚になり、学生一同すごくリラックスして過ごしました。

 漁師民宿といえば魚料理!世久見湾で漁師であり海士でもあるご主人自らが捕った沢山の海の幸を贅沢にいただくことができます。なんといってもこの船盛の贅沢なこと!!おいしい食事に、癒しの空間で至福のひと時を過ごすことができました。(來田)

 

 

<2日目>

〇鳥浜酒造見学

 

 2日目は、三方湖畔の鳥浜にある「鳥浜酒造」を見学しました。鳥浜酒造の創業は大正9年で100年以上の歴史がある酒蔵です。ここで作られている「加茂栄」は、三方五湖に住むコイ、フナ、モロコを食べる地域の食文化の中で、これらに合わせた甘口の日本酒になっています。淡麗辛口の酒造が多い中で、福井県で唯一の甘口のお酒を造り続けています。

 また酒蔵のレンガ積みの煙突は国の登録有形文化財に指定されており、町のシンボルになっています。(來田)

 

〇梅酒工場「若狭三方ビバレッジ株式会社」見学

 

 次に、若狭地方の特産品種である「紅映梅(べにさしうめ)」を100%使用した無添加梅酒を販売している「若狭三方ビバレッジ株式会社」を見学しました。「若狭梅酒」「Benichu」「Beniサイダー」を試飲させて頂き、お酒が得意でない人も飲みやすいものや、男性用をイメージした甘みの少ないものなど、種類が豊富であり、梅酒の魅力を存分に味わうことができました。(野口)

 

〇魚さばき体験、梅シロップ・梅ジャム作り体験

 

 若狭町みさき漁村体験施設「みさきち」では、魚さばきと梅シロップづくり体験を行いました。魚さばきでは若狭湾でとれたお魚を、漁師さんに教えてもらいながら三枚おろしにしていきました。日頃スーパーで見慣れていて、自分でも簡単にできそうに見える三枚おろしは想像以上に難しく、それをササっとやってのける職人さんに凄さを感じました。

 また梅シロップでは、砂糖に若狭町でとれた梅を入れました。梅ジャムは、梅を加熱し柔らかくなったら梅をつぶします。そのつぶした梅を再度鍋にいれ砂糖を加え混ぜました。焦げないように混ぜることが大変でしたが、とても甘い梅ジャムができました。

 昼食は自分でさばいた魚を食べ、デザートとして作った梅ジャムをクラッカーにのせて頂きました。(森)

 

〇レインボーライン山頂公園

 

 山頂には一人乗りのリフトで登りました。ガードなどがないのですごく怖くて、乗っている最中は全身が震えていましたが、後ろを振りかえるとそこには絶景が広がっていました。山頂に着いてからは360度の展望。三方五湖と日本海を同時に見渡すことが出来、天気に恵まれ、空気もとてもきれいで、ほどなく心が浄化されていきました。

 また、ゼミ生全員で「かわらけ」(素焼きの皿)にお願い事を書いて、山の上から思い切り投げて盛り上がったり、海の色をした限定ソフトクリームを食べたり、ソファーでくつろいだりと、山上での滞在時間を満喫しました。(藤井)

 

〇茅葺き屋根の舟小屋

 

 三方五湖のうちの1つ、三方湖の湖畔まで移動すると、茅葺の舟小屋がありました。江戸時代からあったといわれる農作物の運搬に使われた舟を格納する場所で、通気性や断熱性、耐久性の良さから昭和50年ほどまでさかんに利用されていたそうです。今現代では舟を使用する機会が減少し、中には柱が傷んでしまっているものもありましたが、往昔の姿を伝える資源として今も保存されており、柱間からみる三方湖の風景が実に絵になっていました。(野口)

 

〇星空観察

 2日目の夜は、「福井県立三方青年の家」に宿泊しました。到着し夕飯を済ませた後、外で星空観察を行い、少し雲がかかっていましたが、普段関東で見る星よりも空気が澄んでいて、星や月をはっきりと目視することが出来ました。青年の家の館長の方が立体望遠鏡を用意くださり、月、木星、土星などを観察することが出来ました。土星の輪っかをこの目で見たのは初めてでした!月についてはレンズ越しでスマホでの撮影に成功しました!(野口)

 

<3日目>

〇大敷網漁

 

 まだ真っ暗な午前5時。漁師さんの船に乗せていただき漁に向けて世久見港を出発。

 海風がとても冷たく、周りもよく見えない中で、テキパキと動く漁師さんたちを間近で見て、若狭の美味しくて新鮮な海産物を提供してくれているのは、ここにいる漁師さんたちなのだと知ることができました。

 大敷網漁は、若狭地方の伝統漁法とされており、あらかじめ海底に敷き広げておいた大きな網を船で取り囲み、ゆっくりと慎重に引き上げる漁法です。私たちが見学させていただいたときは、日の出とともに魚たちが引き上げられていました。巨大で威勢のよいカジキマグロからタイや八角、墨イカまで様々な海の幸が獲れていました。若狭の綺麗な自然の風景と初めての漁の現場を見て、普段の生活をしていたら絶対に見ることのできない風景だと、とても興奮しました。みんなも、その景色、光景をおさめようと夢中になって動画や写真を撮っていました。

 漁船が港に到着してから、獲った魚の仕分け作業を見守っていました。近くに来ていた地元の方ともお話をして、世久見漁港の特徴を教えてもらいました。世久見漁港は、他のところとは異なり、獲った魚は競りをかけずに、漁師が適量を分けてカゴにいれておき、買い手が自分の名前が書かれた札を欲しい魚が入っているカゴに入れることで購入するシステムだとおっしゃっていました。平和で素敵だと思いました。自然の豊かさと人の暖かさという若狭の魅力を詰まった漁見学でした。(福島)

 

 

〇水月湖畔サイクリング・昼食

 

 水月湖とは、福井県にある三方五湖という水質の異なるという特徴を持つ5つの湖のうちの1つで、7万年以上の年縞が見つかった湖です。

 サイクリングでは、電動自転車に乗り、湖のすぐ側や橋、山道などを走りました。電動自転車だったため、疲れることもなく、好天の中で楽しく自然を感じることができました。自然の中で体を動かすことは、普段都市生活をしている人にとって、心身ともにとてもリフレッシュできる体験だと感じました。

 

 昼食は、サイクリングチームは3つの班に分かれ、それぞれ違うものをいただきました。アオリイカ活き作り、イカ丼、うなぎの選択肢がある中で、私はうなぎをいただきました。

 お店は、水月湖を一望することができる贅沢なロケーションで、景色とお食事をゆったりと堪能することができました。都市にいる私たち学生はうなぎ自体、なかなか食べることのできないので、それをいただけるだけでも贅沢なのですが、今回は三方五胡のひとつである三方湖で獲れた天然のうなぎを使った白焼とうな丼をいただきました。脂がよく乗ったふっくらとした身は、口に入れた瞬間とろけるという表現がふさわしいほどに絶品でした。新幹線に乗り、旅行に来た方にはぜひ食べて欲しいと思いました。(福島)

 

〇瓜割の滝・熊川宿・河内川ダム・昼食

 

 サイクリングチームとは別行動で、1チームが若狭町の山あい、鯖街道沿いにある「瓜割の滝」へと向かいました。「瓜割」の名前は、夏でも水に浸けておいた瓜が割れるほどに冷たいことからつけられたそうです。全国名水百選に選ばれている美しい水と、木々の間から差し込むやわらかな光、周囲の緑が合わさり、滝周辺には神秘的な空間が広がっていました。

 

 次に、熊川宿へ向かいました。ここは若狭と京都との交易が行われた若狭街道(鯖街道)の中継点として発展した宿場町で、伝統的な街並みを残しています。趣のある街並みと、広大な山々が作り出す景色から、パワーを感じました。若者や観光客の興味を引きそうなおしゃれな飲食店もあり、周辺もかなり綺麗に整備されていたため、今後さらに注目を集め、期待できる観光地になりそうだなと感じました。

 さらに、河内川ダムにも案内していただきました。河内川は、水源が福井・滋賀県境の駒ケ岳で、山間部をほぼ北上しながら流れ、若狭町熊川地域にて北川本川に合流する一級河川です。そしてこのダムは平成31年に誕生したばかりだそうです。普段なかなか見る機会のない真新しいダムを間近で見ることができたことは大変貴重な経験でした。ぜひいつか放水される瞬間を見てみたいです。

 最後に、昼食は「葛と鯖寿司の店まる志ん」で、お蕎麦と、鯖寿司、名産「熊川葛」を使った葛餅のセットをいただきました。この日は10月にしては気温が高く、冷たいお蕎麦がよりおいしく感じました。また、葛餅を人生で初めていただきました。透き通った透明の葛餅は、非常に口当たりが滑らかで柔らかく、おいしかったです。店内も和室を中心とした歴史の感じられる空間で、どこか懐かしい気持ちになりました。(松﨑)

 

◎全体の感想

 今回の視察では、若狭町の山や海、新鮮な魚、時間をかけて育てられた梅「紅映梅」など、全国でまだ知られていない魅力を満喫することができました。この日のためにプログラムを一緒に考えてくださり、ガイドを務めて頂いた若狭町の職員の方や、忙しい中丁寧にご説明くださった各施設の皆様のご協力があってこそのものだと思います。この場を借りて、深く感謝申し上げます。

 北陸新幹線が2024年3月に近くの敦賀駅まで延伸する機をとらえて、より多くの人々客に若狭の魅力を直接肌で体感してもらうために、私たちが3日間で体験したこと、大学生目線で感じ取れた事を発信ができたらいいなと思います。(野口)