ライフデザイン学科 研究室ブログ LABORATORY BLOG

2023 伊豆市との連携プロジェクト -伊豆市朗読会のプロモーションのためのポスター,PV作成プロジェクト-
2023年11月20日

 ライフマネジメント研究室では、地方自治体と提携し、その観光振興をお手伝いする提携プロジェクトを行っています。

 提携先の1つ、伊豆市とは、今年度伊豆市において開催される、東アジア文化都市プロジェクトのイベントの1つである、朗読会(川端康成作『伊豆の踊子』および『竹取物語』)のPRのためのポスターの作成とプロモーションビデオを作成することになりました。

 そのために、2023年9月に2日間に亘ってゼミ生全員で伊豆市修善寺と天城湯ヶ島を訪れ、踊り子や川端康成の関連史跡や観光地などを巡って撮影好適シーンを探索し、ゼミ生自らが『伊豆の踊子』用には踊子と書生に扮して、また『竹取物語』用に着物をまとって撮影しました。

 以下では、撮影で訪れた観光スポットを紹介し、撮影の様子をお伝えします。 

 

〇伊豆プロジェクト1日目 

 ・観音堂の大岩 

 伊豆市プロジェクト初日に、最初に向かったのは山の中腹にある観音堂の大岩です。これは、大きな岩が「鬼滅の刃」を思わせるようにみごとに縦に割れており、ここをくぐると観音様の力が宿るとされているということです。街の中心からは遠くないのに、途中の道が整備されていないせいか訪れる者もなく、それだけに神秘性を帯びて感じられました。 

 

・竹林の小径 

 続いて、修善寺温泉街の中心に近い、有名な「竹林の小径」に向かいました。私たちは着物を借りて、ここでプロモーションビデオの撮影を行ったのです。観光客の足が途絶えることがなかったため、狙い通りの、背景に誰もいない写真を撮ることは困難でしたが、着物が竹林を背景によく映え、きれいなポスターも出来上がりました。

 

・筥湯のやぐら

 続いて、私たちは筥湯に併設されているやぐらに向かいました。筥湯は鎌倉幕府第2代将軍源頼家が入浴したと伝わる共同湯ですが、その隣にやぐらが建てられているのです。階上には白を基調とした壁に赤い窓枠の丸窓があり、踊子の黄色い衣装と書生の黒い学生服がよく映えました。 

 

・新井旅館 

 次に、「竹取物語」担当班が訪れたのが、新井旅館です。新井旅館にはいくつもの登録有形重要文化財や、ドラマの撮影に使われるほど美しい中庭などがあり、室内を始めとした様々な場所で、支配人の方に案内いただきながら、撮影させていただきました。 

 池の鯉たちが、支配人が手を叩くと鯉たちが集まってくる様子にはとても驚きました。私たちもやってみましたが、なかなか集まらず、コツがいる様でした。

 いつか個人で訪れてみたいと思うほど、美しい旅館でした。 

 

・恋人岬

 『竹取物語』の担当班が新井旅館にお邪魔している間に、『伊豆の踊子』の担当班は土肥地区にある恋人岬を訪れました。川端康成や踊り子がここを訪れたということではないのですが、ポスターの中に伊豆市の観光資源が盛り込めるのではないかと思ったのです。あいにくの天候でしたが、岬に着いた時は雨も上がり、眼前に駿河湾が大きく広がる眺望を楽しむことができ、お決まりの恋人の鐘も鳴らしました。

 ポスターに取り入れる画像は撮影できませんでしたが、せっかくだから記念にと『金色夜叉』のパロディで、書生を寛一、踊り子の薫をお宮にみたてて、有名な場面を再現して遊びました。

 ゼミの卒業生で伊豆市役所に勤務している先輩がお菓子の差し入れに来てくれ、しばし歓談を楽しみました。

 

 

〇伊豆プロジェクト 2日目 

 ・浄蓮の滝 

 2日目の最初の撮影は、日本の滝100選にも選ばれている浄蓮の滝(天城湯ヶ島)で行いました。落差は25m。滝の周辺は、9月初頭であるにも拘わらず山の冷気と水しぶきで肌寒く感じる程でした。水が綺麗なことから、滝の隣には「わさび田」があり、撮影の合間にワサビを購入するゼミ生もいました。 

 天城は「伊豆の踊子」の小説の舞台で、この浄蓮の滝辺りが踊子歩道の起点であることから、踊り子と書生の銅像が立っています。銅像と現代版踊り子と書生でハイポーズ! 

 

 

・旧天城トンネル 

 浄蓮の滝の後は、旧天城トンネルへ。こちらも『伊豆の踊子』の小説の舞台と知られ、映画化の際にはロケ地にもなっている場所です。旧天城トンネルは、1905年に開通しました。全長445.5メートルに及び、日本に現存する石造り道路トンネルの中では最長です。2001年には、道路トンネルとしては初めて、国の重要文化財に指定されています。トンネル内に入ってみると薄暗く、ぽつぽつと灯りがある程度で、想像していたよりも長い道のりに感じました。ここでは、「踊り子と書生がもしも結ばれていたら」というのをテーマに、トンネルと自然光のコントラストを利用しながらのポスター撮影が行われました。是非、完成したポスターをみてください。 

 

・福田屋 

 撮影2日目の締めくくりは福田屋です。この宿は『伊豆の踊子』の著者である川端康成が19歳の時にここへ訪れ、実際に向こう岸の共同浴場からはだかのまま無邪気に手を振る踊り子を風呂から眺めた宿であり、夜、踊り子と囲碁を楽しんだ宿です。川端の逗留した部屋は当時のまま残っていて『伊豆の踊子』の世界を存分に味わうことが出来ます。 

 私たちはこの場所で、小説に基づく何パターンかの撮影を行い、満足のいく撮影を行うことが出来ました。ここでの1枚もポスターにしましたので是非ご覧になってみてください。 

 

 以上の撮影を終えて制作・完成したのが以下のポスターです。 

 それから、完成したPVは以下のサイトで公開されています。1本は、ポスター作製の裏部隊を見せるというコンセプトで、もう1本は『竹取物語』だけを対象に、続きを聞きたくなるようなお誘いをするというコンセプトで作りました。是非一度ご覧ください。

 

 

伊豆市での撮影を終えて 

 今回行ったプロジェクトでは、日本の昔話に出てくるような風景が必要となりましたが、伊豆の、優雅で柔らかな雰囲気はそれにぴったりだったと感じます。撮影を行いながらも、美しい風景や貴重な体験は、観光客としても豊かな時間を過ごすことができました。普段では、中々体験することのできない自然の中での時間はあっという間で、伊豆の魅力を感じることのできた2日間でした。朗読会のPRの中に伊豆市の観光の魅力を盛り込もうと、ゼミ生一同、気持ちを込めて撮影に打ち込んだこともとても良い経験になりました。(竹部) 

 

 今回の伊豆プロジェクトでは、『伊豆の踊子』と『竹取物語』のポスターとPVの撮影を通じて、伊豆の美しい風景や独自の雰囲気に触れることができ、またプロジェクトに取り組むことでゼミ生間の絆を深めることができました。悪天候で撮影が困難な場面もありましたが、伊豆市の方々に協力していただいたおかげで何とか無事に撮り終えることができました!(田中)