ライフデザイン学科 研究室ブログ LABORATORY BLOG

「阿佐ヶ谷カクテル」開発と七夕祭りでの販売
2022年8月15日

概要

 

 ライフマネジメント研究室19期生は、阿佐ヶ谷の川端新興会と連携し、川端通りで行われる七夕祭りに向けて、阿佐ヶ谷らしさを詰め込んだ「ご当地カクテル」の開発を行いました。

 阿佐ヶ谷の川端通りは飲み屋街となっており、店主同士仲が良くアットホームな雰囲気に包まれています。しかし、コアな店が多く若い女性からすると少し入りにくい空気があるため、これらを払拭し誰でも親しみやすい阿佐ヶ谷川端通りをアピールするために、「阿佐ヶ谷カクテル」を開発し、先日開催された「阿佐ヶ谷七夕祭」にて、販売を行いました。

 カクテルは、事前訪問調査の上、3つの班に分かれて開発を行い、それぞれがコンセプトを決め、アルコール入りカクテルとノンアルコール・カクテルの2種類、合計6種類を完成させました。

 「阿佐ヶ谷七夕祭り」は8月5~7日の3日間で行われ、3件の居酒屋で1日ごとにカクテルの種類をローテーションで変えながら提供しました。

 

 

カクテル

 

アサガヤガヤ/カクテル

「だん蘭鋳の酔曜日」と「和金あいあいの静曜日」

 1班は、阿佐ヶ谷の飲み屋街を表現するカクテルを作りました。

 居酒屋街はどんな街にもありますが、阿佐ヶ谷の居酒屋はお客さん同士の仲が深く、初めて来た人でも歓迎してくれる温かい雰囲気があります。私たちはそんな阿佐ヶ谷の居酒屋の雰囲気に魅力を感じ、阿佐ヶ谷の居酒屋と、そこにくるお客さんの温かさをコンセプトにしました。

 カクテルの見た目は、居酒屋といえば…というお酒の”ビール”の見た目をしています。カクテルの中は、暖かなオレンジ色の照明をした居酒屋をイメージしていて、店内で盛り上がっているお客さんを阿佐ヶ谷で有名な金魚に、飴玉を赤提灯に見立てて、カクテルの中に小さな居酒屋を作りました。

 

☆「だん蘭鋳の酔曜日」(アルコール入り)

 名前の蘭鋳は金魚の一種で、お客さんの温かさを象徴する言葉の「だんらん」と掛け合わせています。

 ベースはCCレモンを使用し、阿佐ヶ谷名物である「ポン酢サワー」にも使用されているポン酢を入れることで、爽やかな飲み口になるようにしました。下の層にグレナデンシロップを加え、シロップで作った金魚を模したゼリーを浮かばせることで、味のバランスを取る工夫をしました。アルコールはウイスキーとジンを使用しており、どちらでも選べるようにしました。甘さやアルコールの強さを調節して、誰でも楽しめるカクテルにしました。

 なお、阿佐ヶ谷に住んでいた阿佐ヶ谷文士の筆頭であった井伏鱒二はウィスキー好きで有名で、編集者から「ジョニーウォーカー」を贈られたとの記録があることから、基酒のウィスキーは「ジョニーウォーカー」を使っています。

 

☆和金あいあいの静曜日(ノンアルコール)

 名前の和金は金魚の一種です。こちらも「和気あいあい」という言葉でお客さんの和やかさを象徴した言葉と掛け合わせています。ノンアルコールということで、”静養”という肝臓をお休みさせるいわゆる休肝日という意味合いから、「静」曜日と名付けました。

 味は、アルコール入りのものからアルコールを抜いたレシピになっているので、CCレモンのジュースをベースとした子供も美味しく飲みやすい味になっています。

 

 

 

朝ヶ夜きんぎょちゃん

「華金魚」と「はしゃ金“魚」

 2班は、朝から子供たちで活気があり、夜は大人たちがお酒を飲みに集う、そんな阿佐ヶ谷の一日中賑わうところに焦点を当てました。そして、「親子ともに楽しめる」をコンセプトに、大人も子供も阿佐ヶ谷の名所である金魚釣り堀の金魚に例え、また子供たちで賑わう「朝」(~昼)の阿佐ヶ谷と大人たちで賑わう「夜」の阿佐ヶ谷のセットで表現しました。

 

◇「華金魚」(アルコール入り)

 大人たちが心待ちにする金曜日の夜=華金から名前を付けました。また、楽しい夜の始まりである夕刻をイメージし、夕刻の下、賑わっている様子を金魚に見立てたドライイチゴで表現しました。グラスの淵には塩、砂糖、ミカンパウダーを混ぜたものをソルティドック風に乗せることで、ドリンクのフランボワーズを使った甘酸っぱいフルーティーな味わいのアクセントになります。

 また、お花のような香りが漂い、大人なカクテルの雰囲気が楽しめます。

 

◇「はしゃ金“魚」(ノンアルコール)

 子供たちがはしゃぎ楽しむ夏の青空を、ブルーハワイとパインジュースで表現しました。味わいはブルーハワイとパインジュースで甘く、子供時代の縁日を思い出すような懐かしさを感じられます。ただ、「華金魚」と同様に、ドライイチゴやレモンゼリー、淵のソルティドック風の塩類はアクセントとなり、一風変わったドリンクとなっています!

 また、青と黄色の2色のお洒落な層もポイントです

 

 

 

阿佐ヶ谷ラブストーリー

「天川彦星」「桃園織姫」

 3班は阿佐ヶ谷の七夕祭りをイメージし、阿佐ヶ谷版の七夕伝説を創作し、命名しました。桃園川の浅い谷地に人々が集まってできた阿佐ヶ谷(浅ヶ谷がその名の由来)の飲み屋街は、とても居心地がよく、毎晩ここで飲み歩いてちっとも仕事をしない彦星は、ついに恋人であった織姫の父の逆鱗に触れ、遠い天の川へt追いやられましたが、七夕の日だけは2人が逢うことを許されているのです。

 「天川彦星」のカクテルは、天に浮かぶ天の川を表現しています。「桃園織姫」のカクテルの色は、桃園川の“桃”からとっており、綿飴は織姫の羽衣を表現しています。

 

◇「天川彦星」(アルコール入り)

阿佐ヶ谷で好まれている黒糖焼酎「里の曙」をベースに、ブルーキュラソーと炭酸水で甘すぎないように仕上げました。ナタデココとゼリーを使用しており、食感も楽しめるカクテルになっています。

なお、「里の曙」は阿佐ヶ谷や在住で人気者だったイラストレータが好んだ銘柄です。

◇「桃園織姫」(ノンアルコール)

 ピンク色のレモンシロップとサイダーで甘くはじける爽やかなドリンクにしました。サイダーの炭酸と綿飴のはじける様子が楽しいドリンクです。

 

 

カクテル販売の様子

 阿佐ヶ谷カクテルの販売の様子を「朝ヶ夜きんぎょちゃん」を例にご紹介します。

 

◇1日目 惣菜スタンド「ふじさん」 

 カウンター席の前にある厨房に立ち、実際に自分たちで作成し、提供しました。

 各席に作成したPOPを置かせてもらい、来店したお客様には口頭でお勧め、提供し、お楽しみいただきました。

 

 

◇2日目 アサガヤアンナイジョ

 厨房には入らず、ドリンクの作り方を伝えて、店員の方に作成していただきました。

 私たちは、POPを持ち歩いている人々へ声をかけたり、お店へ来店された方へお勧めしたりして宣伝しました。

 私たちのカクテルを知ってもらおうとお声がけをしたところ、「どんなお酒を使っているのか、どんな味なのかプレゼンして!」というお客様のお声に応え、POPを使ってどのようなカクテルなのかプレゼンテーションをしたところ、十数人いた店内の半分ほどのお客様に注文していただきました!

 

◇3日目 サンダルキッチン

 私たちのカクテルを飲んだお客様が別のお客様に勧めてくださり、たくさん売れました。

 昨日飲んでおいしかったけど濃すぎたという声があったとき、炭酸水を多めにするなどの対応をして、喜んでいただきました。

 とてもお客様と近い距離で交流ができたからこその、貴重な経験をさせていただきました。

 

◇ヨーヨー配り

 川端通り商店街の入り口あたり、ヨーヨーを作り、通行する人々に配布しました。3日間で300個以上のヨーヨーを配ることができました!

 小さなお子様だけでなく、懐かしいと言いながら受け取るご老人の方、家にいる子供に持って帰るという親御さんなど様々な方に喜んでいただけました♪

 

〇感想

 

◇1班

 販売中、沢山の方が話しかけてくれて、私たちがカクテルのコンセプトとした”阿佐ヶ谷ならではの人々の温かさ”を存分に感じられ、私たちの作ったカクテルのコンセプトそのものを実感できたことに感動を覚えました。

 また、POPを隅々まで読んでくださる方も多く、どのような意味が込められているのか説明をし、直接阿佐ヶ谷の居酒屋のお客さんからお話をうかがうことができました。訪れていたお客さんに、「タイトルの“酔曜日”はすごくこの街の飲み屋に合っていると思うよ」というお言葉をいただくことができました。また、老若男女幅広い年代層の方が訪れることから、誰もが飲みやすいお酒にこだわって作ったこともあり、「実はお酒そんなに強くないけどすごく飲みやすかった!美味しかったです」というお言葉もいただくことができ、コンセプトにこだわって作った甲斐があったと感じられました。

 

◇2班

 3日間、私たちのカクテルを提供していて、味について「淵の塩とカクテルの甘さがちょうどいい」「味がスタバ(スターバックスコーヒージャパン)みたい!」と言ってもらえました。また、「昨日も飲んでおいしかったから飲もうかな」や「もう一杯ください」とおかわりしてくれた方もいらっしゃいました。

本当に味を気に入ってもらえたのだ と私たちにとって一番嬉しい瞬間でした。

 私たちで宣伝する以外にも店主の方やお客様同士で私たちのカクテルをお勧めしてくださいました。そんな阿佐ヶ谷の皆様の温かく明るい人柄を間近に感じながら、楽しい3日間を過ごすことができました!

 

◇3班

 阿佐ヶ谷には強めのお酒を好む人が多く、黒糖焼酎を使った彦星カクテルはとても美味しいと評判でした。阿佐ヶ谷で好まれている「里の曙」を使ったことで好評価を得る事ができたと思います。織姫カクテルも、綿飴とピンクの色合いがとても可愛いと好評でした。

 3日目の「ふじさん」では、お客さんがインスタグラムのストーリーで私たちの事を投稿して情報を拡散してくれたおかげで、それを見て来てくださった人もきてくれて、阿佐ヶ谷の温かさを感じました。店主も常連さんに私たちのカクテルをおすすめしてくれて、多くの方々が飲んでくれました。中には、2つのカクテルを頼んでくれたお客さんもおり、みなさんには感謝の気持ちでいっぱいです。

 3班は最後の最後まで悩んで作ったので、不安なことも多かったのですが、お客さんが自分たちのカクテルを喜んでくれたのでやりがいを感じることができました。

 

おわりに

 カクテル開発を始めるまで、阿佐ヶ谷には行ったことがない、という学生がほとんどでした。しかし、開発を進めていく過程で阿佐ヶ谷の歴史や、ゆかりのある人物、有名な場所など、阿佐ヶ谷について深く知ることができました。

 一からカクテルを作る、ということで困難なこともありましたが、何度も改良を重ねて開発を続けたおかげで、阿佐ヶ谷の人々に喜んでもらえるカクテルを作ることができました。カクテルの販売初日、スタートダッシュが遅れた班がありましたが、人が人を呼び、最終日はどの班も大盛況で終わることができました。

 阿佐ヶ谷は人と人とのつながりが深いまちです。「ひとりで飲んでも独りじゃない」。店主や常連さんたちが温かく迎えてくれるはずです。阿佐谷に行ったことがない人は、ぜひ足を踏み入れてはいかがですか?

以上

 

2022年8月            

ライフデザイン学科         

ライフマネジメント研究室19期生一同