ライフデザイン学科 研究室ブログ LABORATORY BLOG

前期のゼミ活動 縁側の歴史
研究室ブログ
2022年9月14日
 住文化研究室に所属している私たちは、住宅の歴史や文化に興味を抱いています。
 3年生のゼミ活動では、グループ活動が主でしたが、4年生の前期の活動では、自身の課題と向き合うため、先生と面談を行いながら、徐々にテーマを決めていきます。ゼミで国立国会図書館や東京都立中央図書館に行き、資料調査を行いました。
 
  8月1日には、卒業論文の中間発表を行いました。私は、「縁側」に興味を持っています。卒業論文では、縁側の歴史的背景から、縁側の空間がどのように使用され、人々にとってどのような空間であったのかを、歴史的な文献や絵画、今日にのこる現地調査から明らかにしていきたいと考えています。他のゼミ生は、地元の歴史ある街並みの保全や活用方法、スタジオジブリのアニメーションから理想とされた住環境について読み解くなど、一人ひとり個性があり、非常に興味深いテーマでした。これからのお互いの研究が楽しみです!
 
 夏休みには、自身のテーマである縁側の現地調査をしてきました。
 写真は、明治初期の古民家を活用した蕎麦屋「百古里庵」です。静岡県浜松市天竜区横川という自然豊かな地域にあり、そこで取れた食材や山菜、田んぼで栽培した黒米などを使用しています。
 縁側には2つ椅子が置かれており、風情を楽しむことのできる空間が広がっていました。私は写真の畳の部屋でお蕎麦を頂きましたが、縁側をはさんで見える外の豊かな緑や障子から入る優しい日差しによって、穏やかな時間を過ごすことができました。
 
 
 最近では、縁側を持つ古民家をお食事処やカフェとして活用しているお店がみられますが、「百古里庵」では、あえて縁側を飲食スペースとして活用しないことによって、余白の空間であることや内と外の曖昧さが際立ち、縁側自体の魅力を堪能できました。
 
  今回の現地調査では、内と外との曖昧なつながりを持つ縁側の心地よさを、実際に肌で感じることができました。また、縁側にいると、なぜか懐かしさと自然の緑と青空の清々しさを感じ、風情というのはこういうことだと日本の美意識を理解でき、非常に嬉しかったです。これからも日本独特の空間である縁側の研究に励んでいきたいと思います! Y/S