ライフデザイン学科 研究室ブログ LABORATORY BLOG

姫君の空間 打出(うちいで)のインテリア
研究室ブログ
2021年8月17日
 前期の3年生ゼミでは、平安時代の住まいにみられる「打出(うちいで)」について学びました。打出は、建物の御簾(みす、すだれのこと)の下から女性の装束(そでぐちなど)を見せるインテリアのひとつです。あたかも几帳(きちょう)の後ろに高貴な女性が座っているかのように演出するのです。三重県の斎宮歴史博物館では、研究室での成果を活かした展覧会「姫君の空間」が開催されています😊写真は、再現展示の様子です。
 
三重県の緊急事態宣言発令により、展示は8月26日で終了いたしました。
 
 

 発表の一部を紹介します✐

 
◇ 人々の心を魅了する四季の彩り
 私は、今日のゼミから、人々の生活の中における「自然との一体化」「色彩」の重要性を感じた。ドイツのローテンブルクの街並みを例にあげると、それは建物の外側にハーフティンバー(筋交いの壁面装飾)を用いたり、窓辺(外側)に色鮮やかな花を飾るといった外に魅せる家が多いのが特徴である。私は打出の装飾に加え、こうした「見せる文化」を通じて、改めて、人々は自然を通してつながりを享受し、また、四季の彩りが人々の心を魅了してきたのだと分かった。こうした歴史から、「インテリア」の拡がり、可能性を感じたと共に、日本の伝統的和風住宅の魅力についてさらに勉強していきたいと思った。(T/T)
 
◇ 誰に、そしてどのように見せたいのか 

 平安時代の寝殿造は、ひとつの大きな空間を、インテリアで仕切るような、現代に通じる住空間であった。女房装束の打出は、”自然な形”で装束がこぼれているけれど、それは自然にこぼれたわけでなく、意図して”自然な形”としてこぼしている。打出は興味深いと感じた。打出は一つの印(サイン)として意味を持ち、空間の一部を演出する、新しい演出方法であると感じた。
 建築は、技術や道具、美意識の変化、そして社会などの時代の変化によって変わってゆくものだと改めて感じる。そのなかで、インテリアは、平安時代から「誰に、そしてどのように見せたいのか」という意図がこめられており、時代とともに変化する感覚や意識はあるけれど、今日まで通底しているものであると実感した。(M/W)

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 いにしえより、人々は自然を敬い、四季の移ろいに心をうごかされてきました。平安びとが大切にしてきた価値観にふれ、「真に豊かな生活」について、思いをはせてみましょう。