ライフデザイン学科 研究室ブログ LABORATORY BLOG

2022年度 夏季ゼミ合宿@伊豆
2022年11月7日

 ライフマネジメント研究室では、2022年9月7日~9日に、静岡県伊豆市で、ミニプロジェクトを含めて2泊3日の合宿を行いました。その様子を紹介します!

 

<1日目>

 ゼミ合宿1日目と2日目の午前中は、伊豆半島の西部に位置する土肥(とい)で過ごしました。

 

◎駿河湾フェリー

 駿河湾フェリーに乗り、静岡県の清水港から、土肥港へ向かいました。小型船を想像していたのですが、実際は車も乗船できる大型船でしたので驚きました。海も景色も穏やかで過ごしやすく、駿河湾フェリーは静岡の観光のポイントの一つだと思います。

 

◎湯茶寮 マルト

 駿河湾フェリーで土肥港に到着した後は、土肥出身のゼミ卒業生の御父母にお迎えをいただきつつ、宿泊予定の「湯茶寮 マルト」へ向かいました。そこでは至る所に、和箪笥、着物で作った暖簾などの伝統的な物が飾られており、和の趣が感じられました。

 宿では、居間をお借りして、18期生の先輩方が卒業論文計画の発表を行いました。私たちは先輩方の発表に対する質問を行い、コメントシートに書き込むことで、卒業論文を書く際のポイントを学びました。

 夜は念願のバーベキューを行いました! 準備は火おこしから行い、焼肉や焼きそばを皆で作っておいしくいただきました。ゼミ生同士の仲も深まる、楽しい夜でした。

 

 

<2日目午前中>

 2日目は、土肥金山を見学しました。あまり有名ではないかもしれませんが、室町時代に開かれ、江戸時代以降、土肥金山は新潟の佐渡金山について金の産出量日本第2位を誇った金山です。このため土肥の町は多いに発展し、賑わったということです。

 

◎土肥金山

 四方八方に張り巡らされた坑道の一部に入れます。中は暗く、残暑厳しい中でも肌寒かったです。そして、天井が低く、昔の人々の身長と現代の私たちの身長の違いを感じました。さらに奥に進むと、神社があったり、お風呂があったりと、まさに坑道の中が生活界であったことがわかります。

 

 土肥金山の見学の後は、砂利をふるいにかけて、数mmほどの小さな金を見つける「砂金採り体験」を行いました。見つけた砂金はカプセルに入れて持ち帰ることができます。大量の砂利の中から小さな金を見つけることは難しかったです。先生は自分ではたくさん見つけながら、「強欲な者ほど見つけられないものだ」とうそぶいていましたが、店員さんの助けを得ながら、全員砂金を見つけて小さなお土産にすることができました。

 

 隣には、金や鉱山の展示場も併設されていました。昔の土肥の街の様子や金、鉱石について学ぶことができ、勉強になりました。下の写真は、千両箱の重量を実際に体験することのできる器具です。1つの千両箱は22㎏あり、数㎝持ち上げるのがやっとの重さでした。当時はこの重い千両箱を持ち歩くこともあったことから、現代の紙幣や硬貨は持ち運びやすいのだと気づきました。

 

 

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<ゼミ合宿2日目>

 ゼミ合宿2日目は、修善寺温泉街を散策しつつ、「スイーツ評価プロジェクト」を実施しました。これは修善寺温泉旅館組合がスイーツで温泉街を盛り上げようと企画しているもので、本格的な実施の前に、まずは私たちが食べて評価をするというプロジェクトです。その様子を紹介していきたいと思います♪

 

◎『修善寺温泉 宙SORA 渡月荘金龍』 見学

 プロジェクトに先立って、ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の撮影地となった「宙SORA」を見学させていただきました。敷地は東京ドーム1個分の敷地の広さで緑が沢山あり、空気がとても美味く自然を堪能できました。客室も見学させていただきました。露天風呂がついていたり、窓際にベッドが置かれていたりと、リラックスできる癒しの空間でとても素敵でした。

 

◎修善寺温泉街を散策しながらスイーツ評価

 いよいよ1つ目のスイーツ体験&評価プロジェクトです。1軒目は、「あまご茶屋」のわさびシェイクをいただきました。伊豆の天城地方は高級なわさびの産地で知られているので、まさに伊豆らしいスイーツです。わさびソフトというものはありますが、これはシェイク自体がわさび味であるだけでなく、お好みに合わせて混ぜ合わせられるおろしわさびがトッピングされており、最中もまたわさび型になっているなど、全てがわさび尽くしでとても印象的なお味でした。わさび好きにはたまらないと思います。

 

 2軒目は「古民家カフェあまね」です。店主は伊豆の町おこしに貢献したいとUターンして、古民家を改装してカフェを開いたそうです。ここでは目玉商品の「水信玄餅」をいただきました。見た目は、水信玄餅が花柄に型取られていてとてもかわいく、のどごしがとても心地のよい葛餅でした。お店の雰囲気も落ち着いていて、ジブリの世界に入り込んだような心地良い空間でくつろぐことが出来ました。

 

◎『新井旅館』見学

 その後、新井旅館の会議室にて、スイーツプロジェクトについてのプレゼンを伺いました。そこで、「修善寺プリン」をいただきました。修善寺プリンは、たまごの味が濃厚でとても美味しかったです。シロップが黒蜜とカラメルから選ぶことが出来て、どちらもプリンの味とマッチしていてより一層美味しくなりました。

 

 3つのスイーツはいずれもおいしくいただけましたが、味の良さだけでなく、それが東京のスイーツに対する競争力を持つか、伊豆らしさを醸し出しているかというあたりが評価のポイントなので、私たちなりにシビアに評価させていただきました。

 その後、多くの建物が登録有形文化財となっている新井旅館の宿泊棟の内部やもう国内では調達できない太いヒノキの柱が屋根を支える天平風呂を見学させていただきました。庭にはたくさんの鯉が泳いでいて、餌やりもさせていただきました。客室から見える川と朱塗りの橋、それにいろはもみじの緑がとても美しく、いつか是非泊まってみたいと思いました。

 

◎『温泉旅館 一二三荘』宿泊

 修善寺温泉街を散策した後、修善寺駅から今晩泊まる宿に移動しました。夜は伊豆市長や市会議員の方など、伊豆の観光振興に力を尽くしている方々を交えて夕食をとり、伊豆の未来についての熱い語りを聞くことができました。

 その後、前々から皆で楽しみにしていた花火をやりました。手持ち花火や打ち上げ花火をしてとても楽しい思い出が出来ました。

(執筆担当: 佐藤・砂塚・武田)

 

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<ゼミ合宿3日目>

 ゼミ合宿最終日を迎えた今日は、伊豆の国市の史跡や観光スポットを訪れました。

 

◎江川邸

 江川家は、江戸時代、天領伊豆の代官を務めた旗本という由緒正しい家柄です。江川邸は、江川英毅が1600年頃に建てた屋敷で、既存する邸宅建築では日本最古の建物です。1958年に国の重要文化財に指定されています。主家(552平方メートル)は高さ12メートル余の大屋根を支えており、土間(162平方メートル)からその構造を見ることができます。1993年には、主家に付属する書院、仏間、蔵、門、塀、神社、及び敷地(11873平方メートル)が重要文化財に追加指定されています。

札箱と日蓮の曼陀羅

 江川邸はこれまで400年間もの間一度も火災にあったことがないと伝えられています。その理由として、屋根裏の一番高い所に「棟札箱」という木箱が備えられ、その中に日蓮上人が直筆で書いた「曼陀羅」が棟札として納められていたからであるといわれています。火災が多かった江戸時代には、皆がこれを求めており、江川さんは人々に無償でこのお札を配っていたそうです。また、火災にあった江戸城の修復の際には、棟木1本を献上したと言われています。

  ↑この高い屋根裏に「棟札箱」が備わっており、札が納められていました。

 

生き柱

 生き柱は、江川氏がこの地に移り住んできた時、生えていた木をそのまま柱として利用したものです。この生き柱は、現在の主家よりさらに古い、前身となる建物の柱だったと考えられていて、鎌倉時代から受け継がれてきたと言われています。江川家の歴史と伝統を物語る存在として、長年にわたって大切にされてきました。

 

江川酒

 江川家では古来お酒を作っており、北条早雲や徳川家康に美酒であると言われていた銘酒でした。江川氏の源氏は「源」で、島流しで家のこの家の近くにきた源頼朝に仕えていました。

 最近製造方法を記した古文書がみつかったため、伊豆半島に唯一残る酒蔵(伊豆市)がそれを再現しました。

 

裏門・内庭

 江川邸は文政6年(1823)建築ですが、門扉はもっと古いものをそのまま使っています。所伝によると、天正18年(1590)、豊臣秀吉の軍勢によって韮山城が包囲された時、砦のひとつだった江川邸も激しい攻撃を受けました。門扉はその当時のものであり、多数残る穴は鉄砲玉や鏃(やじり)の跡だとされています。

 また、内庭の中には竹林があり、何本かは生えている時から根本が割れているとても珍しいものです。それを当時、千利休が面白いと言い、お茶の席での花挿しに使っていたそうです。

 

 

釿(ちょうな)

 江川邸の柱には、木の表面を削るための道具として釿(ちょうな)が用いられていました。釿は、石器時代から使用され、わざと木に模様を付ける建築デザインとして日本建築に古くから利用されてきました。

 

◎感想

 国の重要文化財に指定されている江川邸に訪れ、日本の伝統的文化として受け継がれている建築を見て、日本の文化の素晴らしさを改めて感じることに繋がりました。また、そういった日本の文化的な豊かさを守っていくことの大切さを感じました。(佐藤)

 

◎三島大社

 三島大社は、古くから伊豆国一の宮として栄え、源頼朝が源氏再興を祈願したことで知られています。

 平成12年には、御本殿が重要文化財に指定され、文化的価値の高さとしても人々に認識されている神社です。

 

 境内では、源頼朝が平家追討の心願を込めて百日の日参をした時に腰を掛けて休息したと伝えられている石がありました。

  ↑左側が源頼朝、右側が北条政子が腰掛けた石です

 

 最後に、皆でお参りをしてから神社を後にしました。

 

 三島大社は、そこがパワースポットと言われているように、居るだけで心洗われるような気持ちになりました。また、緑の多い境内は非常に落ち着いた雰囲気があり、リフレッシュすることが出来ました。(佐藤)

 

◎スカイウォーク

 午後には全長400mの日本一長い歩行者専用吊り橋で、富士山や駿河湾・伊豆の山並みなどを一望できる「伊豆スカイウォーク」に行きました。曇りだった為、富士山は見ることが出来ませんでしたが、400mから見る伊豆全体の景色は絶景でした。

 お昼には、三島名物、三島馬鈴著(メークイン)を100%使用した三島コロッケを使った「三島コロッケカレー」を食べましたジャガイモ感の強いコロッケとスパーシーなカレーはとても美味しかったです。

 また、橋を渡った後には、空色のソフトクリーム「そらソフト」を食べました。橋を渡って少し暑くなった体にひんやり濃厚なソフトクリームは更に美味しく感じました。

 

◎ゆうだい温泉

 最後に、三島市にある「ゆうだい温泉」の足湯に行きました。この日は富士山が見えませんでしたが、外で景色を眺めながらゆっくり足湯に浸かり、日ごろの疲れをとることができました。

 

◎全体を通した感想

 この合宿で伊豆の様々な地に訪れ、実際のものを見ながら学ぶという体験ができた上、仲間同士の仲も深められた為、良い経験となりました。伊豆の観光スポットをめぐることで伊豆の魅力や良さを感じることができました。それと共に、現地の方々からのお話を聞き、より発展した街にするための議論の一端に加わったことも良い学びの経験になりました。(佐藤)

 

 美しい旅館を見学したり、伊豆限定のスイーツを沢山食べたりしたことは、とても良い思い出になりました。自然も沢山あったので心地よい空間で癒される時間となり、また行きたいです。(武田)

 

 土肥金山や修善寺の竹林などは、都会にはない魅力があり、その土地に赴かなければそのよさは体感することができません。また、修善寺スイーツプロジェクトを通して、地方のまちづくりや観光マーケティングについても学ぶことができました。そのため、今回の合宿は伝統的な文化や歴史、地域のまちの特徴を体感することができる、貴重な体験だったと思います。(砂塚)