ライフデザイン学科 研究室ブログ LABORATORY BLOG

古民家カフェ探訪 第2弾
2021年1月6日

 ライフマネジメントゼミでは、ライフデザインの理念を空間として象徴しているような古民家カフェを訪れ、オーナーの思い、インテリアへのこだわり、食への配慮、地域とのかかわりなどを尋ねるプロジェクトを開始しました。そのシリーズ第2報をお届けいたします。


♦◊ 古桑庵 (東京都自由が丘) ◊♦

 

 第2回となる古民家カフェ探訪。今回訪れたのは、東京都目黒区自由が丘にある古桑庵(こそうあん)さん!築100年の歴史を持つ伝統的な古民家カフェには、豊富な甘味メニューが取り揃えられています。

店主の中山さんに、カフェに込められた思いやライフデザインの考えと共通している部分についてインタビューをしました!

 

茶房のコンセプト・方針はどういうものなのか?

 現在の経営は母から娘へと受け継がれている。お店のコンセプトとして「自宅にお客様を迎えるように」を設定し、誰もがゆっくりとくつろげる空間の実現を目指している。自宅である古民家では、当初から店主の母親が作成した人形を展示・販売も行っている。  

 

茶房にしようと思った理由を詳しく分かる限りで教えてください。

 夫婦で住んでいた古民家には、使わない部屋がいくつかあった。その部屋を有効活用するために店を構えることにした。同時に、その空間で人形の展示を行ったり、古典芸能の催す場としても活用したりしている。

 

茶房でこだわっているポイントは?

 提供するメニューに必要な食材の調達は、自由が丘にあるお茶屋さんや乾物屋さんを利用している。あんこの糖度は産地によって違うため、何度も試食するなど、労力と手間をかけて選ぶ。お茶やコーヒーも、甘味とのバランスを考慮しながらお出ししている。古桑庵では、街の人と連携・協力しながら、お店を経営している。

 

外観や内装へのこだわりはありますか?

 100年経つ木造の家であるため、風向きによっては風雨がしみてきたり、雨どいに落ち葉が詰まってしまったりする。庭は年に2回、植木屋さんの手入れが入る。植木屋さんとの長期的な付き合いも大切にしている。また、四季の移ろいに沿って春はお雛様を飾り、夏はかき氷をお出しする。秋、冬は紅葉や落葉を窓から楽しむことができる。

 

お客様が日常を忘れ、ゆったりと過ごせる空間づくりのために心がけていることはなんですか?

 お客様に言われるまでお水をおつぎしない。これは、そうすることがお客様の視界を遮り、却って邪魔になってしまうため。また、畳に座っているお客様に失礼のないよう、お客様の視線よりも上にならないようにと配慮している。

周辺の環境が変わっていく中で、なぜ自由が丘の地でカフェを続けていこうと思ったのですか?

 家があってのお店(カフェ)だから。この店がどこかのビルの中に入ってしまったら、何の価値もなくなってしまう。「自分達の家で、カフェを続ける」という価値を大切にしている。

 

どのような客層が来店されますか?

 30~40代の女性客がメイン。アジア圏(中国、韓国など)の外国人も多く訪れる。

 

貴重なお時間を頂き、またたくさんの素敵なお話をお聞かせ頂いて、ありがとうございました。

 

〇インタビューを終えて

 必要なものは出来る限り自由が丘内のお店から調達したり、試食も近所の人たちと連携して行ったりするなど、周辺地域の人々と繋がり合って経営しているお店であるという面が「社会的豊かさ」に直結していると思いました。

また、築100年という古い歴史を持つ家に、四季を感じられるような工夫を施し、日本古来の文化を色濃く残していた点に、「自然的豊かさ」「文化的豊かさ」を感じました。

 まるで田舎の実家に帰ってきたかのような空間。心地よい畳と、開放感あふれる縁側。ゆったりとした時間が流れる、「真の豊かさ」を存分に感じられる素敵なカフェでした。

お近くに住んでいる皆さんも、自由が丘の地で、日本古来の風を感じてみてはいかがでしょうか?

 

聞き手・大蔵 金刺 金子

書き手・飯高 金子 金刺 杉野

訪問日・2020年12月3日