今年度の3年生は、昨年度に引き続き「出身高校のリ・ブランディングデザイン」を年間研究テーマとして設定しました。前期はKJ法やペルソナデザインなどのデザインシンキング手法を活用し、対象校の現状分析と課題抽出を丁寧に行いました。特に今年度は、AIツールを分析・視覚化の補助として取り入れたことで、昨年よりも多角的かつ深いリサーチが可能となりました。後期は分析結果を基に、グラフィック、プロダクト、スペース、映像といった各領域での提案へと発展させ、段階的に企画を構築するプロセスを通して、より一貫性のある企画力やブランディングスキルを身に付けることができました。
一方、4年生は昨年度の学びを活かし、自身で研究テーマと進行スケジュールを設定し、個々の「好き」や関心を起点とした卒業研究へ取り組みました。今年度も、「ディズニーホテルで展開する新ルームウェアデザイン-3作品の洋画から着想を得たオリジナルプリントを反映させて-」、「『あつまれ どうぶつの森』の住民をモチーフとしたアパレル制作と『ABLE SISTERS』を再現したショップ構想」、「昆虫をモチーフとしたバレエ衣装-舞台上で登場人物の見分けを容易にする衣装-」など、多彩で個性的な研究テーマが並びました。3年次までに培った分析力や表現技法を基盤に、自身の“好き”を社会へ接続できる企画へと昇華し、卒業研究を充実したものにすることができました。
本ゼミの特徴は、先生の考える“「有」から「有’」を生み出す”という姿勢に基づき、既存の価値をリ・デザインする視点を重視している点です。0から1を生み出すだけでなく、既にあるデータや対象を深く読み解き、これまで「ありそうでなかった」形へと再構築していくプロセスを大切にしています。また、「1つの答えを追求するより、100通りの可能性を準備することが大切」という考えのもと、私たち学生はテーマの深い分析と幅広いアイデア出しに時間をかけ、試行錯誤を繰り返しながら企画の精度を高めていきました。技法やテクニックを手取り足取り教えるよりも、まずは“自分のやりたいようにやってみる”ことを尊重して背中を押してくれる環境であり、課題の解決策そのものよりも、そこに至るアプローチ方法を学べる点が大きな魅力です。
さらに、学生同士が互いに刺激し合える環境である点もこのゼミの大きな特徴です。発表会や制作途中の共有の場では、他の学生の発想や表現方法、技法に触れることで、新たな視点を得たり、企画を見直すきっかけになることが多くありました。多様な個性と「好き」を持つ学生が集まっているからこそ、互いを高め合える関係が自然と生まれ、研究を進めるうえで大きな力となっていました。
自身の興味や感性を起点に自由に企画を形にできる研究室であり、この2年間の活動を通して、多角的な視点や自立した思考力を自然と養うことができました。
中島研究室 N.M.