小出邸




 モダニズムの先駆者と呼ばれる建築家、堀口捨己が設計した最初の住居建築。
オランダへの視察旅行でアムステルダム派やデ・スティル派の建築に触れ、
帰国直後の1925年(大正15年)、堀口捨己が30歳の時に文京区西田片に建てた邸宅である。
垂直水平で構成されるスティルの影響もあってか、この建物は三角屋根に水平ラインの庇、
そして白い壁に水平垂直の大きな窓が特徴的。和洋折衷とはこのことだろう。
洋風の玄関ポーチを入ると、落ち着いた和室や日当たりの良い縁側があったりと、
外観からは想像もつかないほど、「和」の空間が広がっている。
かわって応接間には、丸テーブルや一人がけソファー、ピアノが置かれ、重厚間溢れる洋室となっている。
 このように、堀口捨己は和風と洋風とを上手く織り交ぜ、
西洋の様々な影響を受けながら小出邸という一つの建物の中に自らの理念を凝縮したのである。
この自由で新しい建築スタイルは、型にはまらないという点でも当時大きな衝撃を与えたに違いない。(福島 真奈)