私たちは、住居と生活用具からなる家庭空間の中において、家族の一員として日々の生活を営み、地域活動など、市民・住民として地域社会と関わりながら、さらに消費生活、職業生活や政治参加などを通じて社会全体と関わりながら生活を営んでいます。そうした営みは自然の恵みを起点としてなりたつものであり、またその利用方法や廃棄の方法によって生活の営みが自然に影響をおよぼします。
このように、私たちの生活が様々なヒト、モノ、コト、ココロ、自然との相互の関係の中にあるものですから、「真の豊かさ」を実現するには、そうした関わり合いを考えることが必要です。したがって、私たちの生活経営、人生設計は自分ひとりとその身の回りだけに限定するのではなく、より大きな生活環境の中で、様々な要素との"関係"の中で構想されるべきものなのです。 私たちが関係する要素は、大きく分けて「家庭」(家族・家庭との関係)、「地域」(地域との関係)、「自然・社会」(自然および社会環境との関係)の3つに分けることができます。
ライフデザインはこの空間軸の中で考えられるべきものです。
人間は成長し、発達する存在であり、年齢と共に能力が高まり、生きがい観、自然観などの価値観や嗜好が変化していきます。また、家族のライフサイクル(子供や親の発達や変化)によっても個人の生活が左右されます。したがって、「真の豊かさ」の追求にあたっては、現在時点での価値判断で目標を設定することは適当ではありません。
また、近代以降、地域社会、社会全体の変化が著しく、地域文化・生活文化の伝承や健全な近隣関係の維持が危うくなると共に、人の働き方、消費の仕方などが大きく変化しています。さらに、近年、人間の経済活動が甚大な影響を自然環境に与えることとなり、そのことが次世代にも影響を及ぼします。
したがってライフデザインは、私たち自身のみならず、関係するあらゆる要素の"変化"を織り込んで、さらには将来世代のことも含めて、考えられなければならないのです。